ennexOSによる電力の統合と運転コストの節約
ドイツのAlheim-HeinebachのHäde家は、エコロジーとエコノミーを結びつける技術の最先端を担っていることを、誇りに思っています。 2001年、Häde家の養鶏場に、最初の太陽光発電システムが設置されました。 今やHäde家の経営する事業は、SMAの電力管理用IoTプラットフォームennexOSを使用したデジタル電力供給の、先駆けとなりつつあります。
Leonhard Hädeの長男Fabianは、農場のグリーン電力を自家生産し始めたときのことをこう振り返ります。「私たちが20年近く前に小型の太陽光発電システムを初めて設置したとき、変わり者だと思われました。」その後数年の間、この家族経営農場は、後に賞を受賞することになるプロジェクト「Sunny Egg」を開始し、新しい鶏舎の屋根だけでなく、太陽光発電トラッキングシステムの地下に設けた卵を産む鶏のための庭にも、大型太陽光発電システムを設置しました。「農場にある5台の太陽光発電システムは、2017年には合計200万キロワット時近い電力を生みだしました。」とFabian Hädeは胸を張って言いました。Hädes家は最新の太陽光発電システム(出力250キロワット)で生成した電気を自家消費し、電力コストの節約と農場のCO2排出量削減を図っています。グリーン活動のパイオニアは、暖房に関しても妥協をしません。農場には2つのCHP発電所があり、供給は近くのバイオガス発電所から行われています。
電力管理による電力コストの節約
SMAの住宅用・事業用製品部長Folke Mitzlaffは、この農場には理想的な条件がそろっていると言います。 電気技術者であるFolkeは、Hädesの農場を初めて訪れたときのことを、目を輝かせて語ります。「若い鶏を繁殖させるための暖房、倉庫の冷房、鶏舎の換気、電動給餌機、照明-電力がこの養鶏場で重要な役割を果たしていることが、一目でわかります。電力の総合的な診断と管理を備えたこのような場所では、様々なことを実現することができます。私とSMAのパートナー企業Kirchner Solar GroupのMarkus Frommannが、農場の電力をさらに効率的に利用し、電力コストを大幅に節約する方法を説明したときにも、Häde 家のLeonhardとFabianは耳を傾けてくれました。」
その後まもなくこの養鶏場は、SMAの新たな電力管理用IoTプラットフォームennexOSを導入するパイロットプロジェクトに、参加することになりました。「最も環境にやさしく、費用効率の高い電力というのは、最初は生産・使用する必要のない電力なのです。また、あらゆる電力消費機器を管理・接続したことで、電力効率が高まったのは明らかでした。」と、Fabian Hädeは力説しました。
「電力診断を利用して、卵を一つ生産するごとにCO2を削減していること、つまり生産に要するよりも多くのクリーンな電力を生み出しているということを、お客様に示すことが理想です。これが実現できれば最高です。」
MitzlaffはFrommannや認定電力監査員と協力し、農場で電力の生産と消費を行うすべての機器の記録を作成することに取り組みました。これは非常に労力を伴うものでした。適格な監査のためには、電力需要全体の少なくとも90%の内容について説明できなければならないため、専門家が二度訪れ、農場を事細かに調査しました。
その後、ennexOSを基盤とする監視システムを設けることになりました。これはプロジェクトに関わるものすべての中で、初の導入でした。というのも、いくつかの技術的な問題があったのです。「電気、暖房、換気、冷房など、様々な電力の流れをすべて記録するためには、現場の電流経路について非常に正確な知識を持っている必要があります。」とMitzlaffは言いました。Häde家とKirchner Solar Groupの長年にわたる良好な関係が、ここでものを言いました。「農場のすべての太陽光発電システムを計画し、設置したのは私たちです。つまり、私たちは電力供給の状況を正確に把握しているのです。」と、Frommann氏は説明します。
ennexOS監視システムにより、Hädes家はいつ、どこで、どれだけの電力が農場で生産・消費されているかを正確に知ることができます。消費データの分析を終えたMitzlaffは、すでにより効率的なエネルギー利用のための初期提案をすることができます。一つ懸念されるのは、全ての鶏舎の電動給餌機が同時に起動するとき、短時間のうちに大量の電力が消費されてしまうということです。「給餌機の起動にわずかに時間差をつけることで、ピーク負荷は軽減されるでしょう。この対応策だけで、年間最大1000ユーロの電力コストを節約することができます。」とFabian Hadeは言います。
電力診断が本格的に行われるようになった今、Mitzlaffのチームはすでに次の段階の計画を進めています。それは、自家消費システムで生産された電力のうち、農場で使用されていない分を直接売電することです。これを実現するため、SMAは電気事業会社MVV Energie AGとの協力により、新たにSMA SPOTソリューションを開発しました。このソリューションは、以前は必要とされていた追加の技術や複雑なプロセスなしに、機能することができます。Mitzlaffは、「ennexOSを介することにより、太陽光発電システムをデジタル電力取引システムに接続することが、技術的に可能になります。MVVは、調整されたインタフェースや自動化されたプロセスによる、電力市場へのあらゆる統合処理を担当します。」と説明しました。
しかしながら、この直接売電プロセスが開始できるようになるまで、Mitzlaffには眠れない夜が続くことになります。「クリスマスの前まで、私たちはすべてが順調に行っており、直接販売を予定通り2018年1月1日に開始できると思っていました。ところが、休暇後に電子メールを確認したとき、私は非常に衝撃を受けました。」とMitzlaffは振り返ります。「グリッドオペレータが、システムの強制遠隔制御に問題を発見し、こちらとの接続を拒否したのです。」Mitzlaffは、電話や電子メールなど、あらゆる手段を尽くして同僚をクリスマス休暇から連れ戻しました。そして彼はついに成功を収めました。年の初めから、Häde家は余剰な電力を直接電力取引所に販売しています。
ストレージシステムにより高まる柔軟性
Folke Mitzlaff、Markus Frommann、Fabian Hédeは、すでにはるか先を見据えています 電力監視の結果に基づき、農場の電気製品や暖房・換気・冷房システムは、ennexOSを介して接続され、自動的に管理されます。このように地域レベルで電力を統合することにより、農場における電力効率の最大化とコストの節約を実現することができます。またHäde家は、ピーク時の負荷を回避し、太陽光発電の自家消費をさらに増加させるため、農場に大規模なストレージシステムを設置することを計画しています。電力監視の結果は、ストレージシステム設計の最適化にも使用されています。 規定されている必要条件が整えば、Hädes家は電力系統の需給バランスをとるためのグリッドサービスを提供するなど、ennexOSを介し、バッテリストレージシステムによって電力市場で積極的な役割を担うこともできるようになります。
これは電力供給のデジタルな未来の形です。そしてそれは、Alheim-HeinebachのHäde養鶏場で、間違いなく始まっているのです。
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