パワコン81台で10MW: 豪州最大の屋根上太陽光発電ソーラーシステムをSMAで構築
エネルギー転換を成功させて気候変動を止めるには、再生可能エネルギーによる発電を大幅に拡大する必要があります。そのためには、太陽光発電でも、特に広いスペースを活用する必要があります。earthconnect社がAustralian Panel Products (APP) のチップボード製造販売施設建設に際し最も困難な条件下にもかかわらず豪州最大の屋根上ソーラーシステムを構築しました。
現在、エネルギー大量消費型産業には、世界中で大きなプレッシャーがかかっています。エネルギー不足の昨今、膨大な電力を消費する製造業は生き残っていけるのか?エネルギー価格の急騰により製造コストが上昇し企業は競争力を維持できるのか?豪州の木製パネルメーカーAPPは、これらの質問に対する革新的かつ持続可能な答えを同時に見つけました。製造・販売社屋の広い屋根上スペースを利用して、太陽光発電を行うというものです。
ニューサウスウェールズ州ニューカッスルにあるEPC (設計・調達・建設) プロバイダーであるearthconnect社は、約8ヘクタールにおよぶ豪州最大の屋根上ソーラーシステムを構築しました。SMAパワーコンディショナ81基、パネル27,000超で構成された10MWの記録的プラントが、2021年12月に稼働しました。
2段階での展開 – 16 MW間近に迫る
この規模のプラントはプロジェクトの設計者と施工業者に多大なる課題をもたらしました。そのためプロジェクトは、2019年10月にSMA Sunny Tripower Core1 50,000TLを28基とパネル6,000枚の2MWシステムを設置し、その後SMA Sunny Tripower Core2 110,000 TL を53基追加して施設を8MW拡張するという2段階で実現されました。約45kmの取り付けレールに21,000枚の385Wパネルを追加して拡張しています。
しかし、それだけではありません。Earthconnect社は、APPのCentral Coast配電施設に、太陽光発電容量を3MW追加しており、構築の最終段階でさらに合計3 MWを追加する予定です。これにより、同社の再生可能エネルギーポートフォリオは16MW以上に拡大します。APPのシステムはこれまですべてSMAパワーコンディショナで構成されています。
オベロンでは、Sunny Tripower Core1およびCore2の2タイプのパワコンを使用しています。迅速かつ容易に設置可能で、拡張性、気候条件に対する堅牢性に優れているのが特徴です。特に、初の自立式ストリングインバータであるSunny Tripower Core1は、設置架台が必要ないため、設置にかかる時間をかなり短縮できます。SMAのパワーコンディショナにはこの特性があり、特に大規模な屋根上システムでの使用に最適です。稼働時には、厳しい気候条件に対する堅牢性がその能力を発揮します。設置時には、迅速かつ容易という特徴が役立ちます。
Covid-19による出荷遅延や暴風雪でもプロジェクトを継続
プロジェクトを設計したearthconnect社が直面した課題を考慮すると、本プロジェクトの規模の見事さが際立ちます。Earthconnect社のCEOであるAdam James氏のコメント、「当社にとって最大の課題は新型コロナウイルスの世界的感染拡大で、特にロックダウンにより人員調整が難しくなりました。」さらに、サプライチェーンの分断により、プロジェクトの実施が困難になる可能性もありました。「2021年の国際的な調達状況はよくありませんでした。コンテナ価格や輸送が特に難しくなりました。しかし、事前に契約書を作成し、製造の割り振りを決定していたため、スケジュール通りに設置を完了できました。」
設置時には別の大きな課題もありました。天候不順と冬の凍てつくような気候です。事実、現場に到着したスタッフが、屋上とパネルに雪が積もっているのを見たこともありました。それでも、この記録的プロジェクトは予算内で、そして、2021年2月から2021年のクリスマス1週間前までという9か月の期間で完了しました。
「未使用の空きスペース」をグリーン発電プラントに
Adam James氏のコメント「この発電システムは、屋根上システムで3MWという従来の記録を超えた、この分野における大きな成果です。」システムではクリーンエネルギーを毎年14GWh発電し、すべてAPPで消費しています。シドニーの西約180kmのニューサウスウェールズ州オベロンにある発電所のメーターは、現地の総エネルギー需要の最大10%を賄っています。2,000世帯に1年間、電力を供給できる発電量です。
その結果、チップボードの製造販売を行うAPPの現場では、年間約15,000トンのCO2を削減できました。言うまでもなく、APPのコスト削減は、電力会社から小売価格で購入する必要がなくなったために可能となったものです。Adam James氏は続けます。「未使用の空きスペースをクリーンエネルギーの発電に利用することにより、エネルギーコストを大きく節減しました。」earthconnect社は、コスト削減を考えると、投資金額を取り戻すのに5年もかからないだろうと予想しています。
エネルギー集約型産業がクリーン電力の発電者に
本プロジェクトは、エネルギー集約型産業が未使用の空きスペースを使用して持続可能エネルギーを発電できるという、見事な実例となっています。莫大なコストを削減できるだけでなく競争力を高める機会にもなり、カーボンフットプリントの削減やエネルギー転換にも貢献します。
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